平成27年1月1日以後に開始する相続から相続税の
基礎控除額がそれまでの6割に引き下げられました。
基礎控除額は相続人の数に関係なく定まる「定額控除額」と、
相続人の数によって金額が変わる「比例控除額」を合計したものです。
従来の基礎控除額は、
「定額控除額5,000万円」と、「比例控除額(1,000万円×法定相続人の数)」
で計算されていましたが、改正後は、
「定額控除額3,000万円」と、「比例控除額(600万円×法定相続人の数)」
となりました。
改正により相続税の課税割合はそれまでの4%前半くらいから
6-7%に増えるのではと予想されていましたが、
実際にはどうだったのでしょうか。
国税庁が公表した平成27年1月1日から12月31日までの
相続税の申告状況によると、改正の影響で、
課税対象となった被相続人数は大幅に増加しました。
死亡者数は前年比で1.4%の増加ですが、
課税申告書提出件数(下図の③)は83.2%もの増加になっています。
課税割合は事前の予想を大幅に上回る8.0%となり、
平成26年の課税割合の倍近い増加になっています。
課税申告書提出人数は46,804人増加し、
相続税額は4,208億円増加しています。
課税対象者が広がった一方で、1人当たりの税額は
1,758万円と715万円減少しています。
<相続税の申告事績> |
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平成26年分 |
平成27年分 |
対前年比 |
①被相続人数(死亡者数) |
127万3,004人 |
129万444人 |
101.4% |
②相続税の申告書の提出(税額なし) |
1万6,895人 |
3万27人 |
177.7% |
③相続税の申告書の提出(税額あり) |
5万6,239人 |
10万3,043人 |
183.2% |
④課税割合(③/①) |
4.40% |
8.00% |
3.6ポイント |
※国税庁HPより
上記は全国の相続税申告状況でしたが、
愛知県だけで見てみると、死亡者数は前年比で2.6%の増加、
課税申告書提出件数は75.3%の増加になっています。
課税割合については、5.7ポイント増加して13.8%となっています。
これは都道府県別に見たとき、東京に次いで全国で2番目に高い課税割合です。
<相続税の申告事績 【愛知県】> |
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平成26年分 |
平成27年分 |
対前年比 |
① 相続人数(死亡者数) |
6万2,426人 |
6万4,060人 |
102.6% |
②相続税の申告書の提出(税額なし) |
1,241人 |
2,299人 |
185.3% |
③相続税の申告書の提出(税額あり) |
5,058人 |
8,868人 |
175.3% |
④課税割合(③/①) |
8.1% |
13.8% |
5.7ポイント |
※国税庁HPより
相続財産の構成比として最も多いものは土地となっており、
家屋も含めると5割近くを不動産が占めている状況は変わりません。
相続税は関係ないと思っていたご家庭でも、
いざ計算してみると相続税がかかるようになったというのが
基礎控除引き下げの影響と言えます。
中村