業務上の指導とパワハラとの線引きはどこにある?

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、

職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、

業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える

又は職場環境を悪化させる行為をいいます。

 

厚生労働省の発表資料によると、個別労働紛争の相談件数で

パワハラの件数が5年連続でトップとなっています。

業務上必要があって部下を叱ったことが

すぐにパワハラになるわけではありません。

 

ただ、以下のいずれかの要件に該当する場合は

パワハラと判断される可能性が高くなります。

 

① 業務命令等が、業務上の必要性に基づいていないもの

 

②外見上は業務上の必要性があるように見える場合であっても、
   業務命令等が不当な動機・目的に基づいてなされていること

 

③業務命令等が労働者に対して通常甘受すべき程度を

   著しく超える不利益を与えること

例えば、部下が仕事のミスをする等の問題行動があり、

上司として指導する必要があったとします。

指導する部下に問題行動があるということが前提です。

部下に具体的なミスがないのに上司が

指導という名で叱責した場合は上記①の場合に

該当しパワハラと判断される可能性が高くなります。

 

あわせて、部下の問題行動の程度と指導の内容との

バランスも重要です。ミスの内容と比較して明らかに

指導の内容が重すぎる場合もパワハラに該当する可能性が高くなります。

 

ちょっとしたミスに対して何時間も部屋にこもって

厳しい注意指導がされた場合や大勢の前で叱責される場合、

複数人に宛てたメールで個人攻撃をされる場合等は

上記の②、③等に該当しパワハラと判断されるでしょう。

 

また、同様のミスが起きた場合に特定の部下にのみ

厳しい叱責を行う場合や部下との日常的な人間関係が

よくない場合で個人的な感情で指導や叱責をしている

と判断された場合等も同様です。

 

パワハラは、業務上の命令や指導なのか、

そうでないのか画一的な線引きができない難しい問題です。

業務上の指導を行う場合には、部下の人格を尊重し、

常に「育てる」という意識を持って指導する、

業務の内容・量、指導のタイミング、指導の場所、

指導方法などの状況に応じて適正に指導すること、

部下のミスの程度と指導の厳しさとのバランスが

適切であるか留意する必要があります。


                  中村

<パワハラの6類型>       ※厚生労働省HPより

 

叩く、殴る、蹴るなどの暴行を受ける。
物を投げられる。

同僚の目の前で叱責される。他の社員を宛先に含めて
メールで罵倒される。必要以上に長時間にわたり、
繰り返し執拗に叱る。

1人だけ別室に席を移される。
強制的に自宅待機を命じられる。
送別会に出席させない。

新人で仕事のやり方もわからないのに、
他の人の仕事まで押しつけられて、
同僚は皆先に帰ってしまった。

運転手なのに営業所の草むしりだけを命じられる。
事務職なのに倉庫業務だけを命じられる。

交際相手について執拗に問われる。
妻に対する悪口を言われる。
           

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